まぼろしの夏(まぼろしのなつ)
  初出誌
1983年(昭和58年) 小説現代10月号
 作品関連
  雑誌 1983年 小説現代10月号 講談社
  書籍 1984年 青い風景画 立風書房
  書籍 1988年 青い風景画 講談社文庫
  ドラマ 1991年 悪魔のささやき フジテレビ系
  書籍 1993年 青い風景画(上) 埼玉福祉会
 事件の舞台
   北関東K村大字細水・・・細水豊市宅、中谷コウ宅
   K村粟田・・・細水ハルエ宅、横地信行宅
   M村・・・民宿「ひぐらし荘」
 あらすじ
 大学生の細水勉は友人・長原良樹とともに、良樹の卒業論文の研究資料探索のため、大きな蔵を持ち山奥の旧家で暮らす勉の伯父・細水豊市の家へ向かった。良樹が蔵の中で古い文献に夢中になっている間、勉は父・勝次が子どもの頃に使っていた教科書がみつけたが、その中に少女が写った写真が一枚挟まっていた。その少女は二人が先ほど乗ってきたバスの中にいた少女に顔立ちがそっくりだった。そこで勉は豊市にこの少女のことを聞いてみると、彼女は勝次の同級生で、洋裁学校へ行っていた頃に雑木林で殺され、犯人がわからずじまいになっているということだった。
 登場人物
細水  勉 Q大学工学部4年生。22歳。機械工学専攻。
長原 良樹 Q大学文学部4年生。22歳。日本史専攻。勉の親友。
細水 豊市 北関東M村の元・庄屋の旧家に住む勉の伯父。
息子 豊市の息子。40歳代。
豊市の息子の妻。30歳代。
長男 豊市の息子の長男。高校生。
細水 昌市 豊市の息子の次男。中学生。
細水 勝次 勉の亡父。豊市の弟。30年前にガンで死亡。
細水美奈子 勝次の長女。勉の姉。
細水ハルエ 勝次の姉。豊市の妹。勉の伯母。豊市宅から少し離れた家に住む。
紫光尊 戦後、村にいた占い師。村人の大部分が信じ込む絶対的存在。
横地 戦後、村の外れで暮らしていた鍛冶屋。
横地妻 横地の妻。紫光尊の信者。
横地 昌行 横地の長男。海軍に召集され戦死。
横地せい子 横地の長女。故人。
横地みな子 横地の次女。勝次の恋人。雑木林で殺される。
横地弟 横地の次男。現在、寝たきり。
柳 さゆり せい子の孫娘。東京で暮らす学生。容姿がみな子に似ている。
横地 清弘 横地弟の孫。昌市のクラスメイト。
高瀬 雪雄 M村の民宿「ひぐらし荘」の経営者。
女の子 「ひぐらし荘」の若い女中。
腕のいい村の大工。
中谷 コウ 辰の妻。小間物商。
中谷 太平 辰の長男。
鐵二 日華事変でK村から出征した村の青年。文房具屋の息子。
渡邊 日華事変でK村から出征した村の青年。
佐竹 日華事変でK村から出征した村の青年。