死を呼ぶ灯(しをよぶひ)
  初出誌
1975年(昭和50年) 小説現代10月号
 作品関連
  雑誌 1975年 小説現代10月号 講談社
  書籍 1976年 死を呼ぶ灯 立風書房
  書籍 1979年 みずほ荘殺人事件 角川文庫
 事件の舞台
   日野・・・下畑逸夫宅、平松宅、古道具屋
   目黒・・・紀代子が寮母をする会社寮
   静岡・・・平松リツ宅
   川崎・・・尾島雄一宅
   新宿・・・逸夫と雄一が会うレストラン
   瀬谷・・・尾島清右衛門宅、浄念寺、玉井牛乳店、煙草屋
   板橋・・・初枝が以前経営していた豆腐店
   小田原・・・友江の実家
 あらすじ
 高校教師の下畑逸夫は、横丁裏にある古道具屋に置かれていた一台の電気スタンドに目がとまった。電気スタンドとはいっても壊れて灯りはつかず、インテリアの置物として使うものとなっていた。逸夫はそのスタンドに何か惹かれるものを感じ買い求めたのだが、家に持って帰るとスタンドのそばに浴衣を着た男が見え、不気味な雰囲気を漂わせていた。逸夫の家族も電気スタンドを気味悪がり、特に母の紀代子は表情に嫌悪感があらわれるほどだった。そこで逸夫はスタンドの由来を調べてみたのだが、どうやら逸夫自身が幼少期にいた彼の旧家にあったものだったことがわかった。
【ワンポイント】
 資料によっては「しをよぶともしび」「しをよぶあかり」と色々なルビがふられる作品ですが、ここでは国会図書館サーチでの読み方で表記しました。
 登場人物
下畑 逸夫 私立高校の物理教師。33歳。
下畑 友江 逸夫の妻。
息子 逸夫の息子。4歳。作品上、名前は出てこない。
尾島清右衛門 逸夫の亡祖父。横浜市瀬谷区に住む大地主。31年前に首吊り自殺。
尾島登代子 清右衛門の長女。数年前に病死。
尾島 元吉 登代子の夫。31年前に心臓麻痺で死亡。
尾島 雄一 登代子の長男。逸夫の従兄。36歳。出版社の営業部に勤める。
下畑紀代子 清右衛門の次女。逸夫の母。下畑家に嫁ぐが、夫の死後、目黒で寮母となる。
下畑 紀代子の亡夫。逸夫の亡父。元・新聞記者。
女の子 戦時中、尾島家に疎開していた女の子。
カズちゃん 戦時中、尾島家に疎開していた男の子。女の子の弟。小児麻痺で寝たきり。
平松 日野市の都営団地に住む会社員。
平松の妻。
子供 平松の一子。小学生。
子供 平松の二子。幼稚園児。
平松 リツ 平松の父の妹(叔母)。40代半ば。静岡に住む日本茶問屋の経営者。
玉井 富三 横浜市瀬谷区にある「玉井牛乳店」の主人。
玉井 初枝 富三の母。60歳代、元・尾島家のばあや。
前住職 瀬谷にある浄念寺の前住職。
現住職 瀬谷にある浄念寺の住職。前住職の息子。元・シベリア兵。郵便局員も兼務。
現住職の妻。
古道具店 横丁裏にある古道具店の主人。