枯葉色の街で(かれはいろのまちで)
  初出誌
1966年(昭和41年) 小説現代10月号
 作品関連
  雑誌 1966年 枯葉色の街で 文藝春秋新社
  書籍 1977年 灯らない窓/枯葉色の街で 立風書房
  書籍 1982年 枯葉色の街で 角川文庫
  書籍 2011年 仁木悦子長篇アラカルト 晴の巻 出版芸術社
 事件の舞台
   調布市白金町・・・スズキ文房具店、小森書店
   調布・・・額田総一郎邸、「額田ボードKK」工場、山城屋、魚定、八百政、村上薬局
   新宿・・・「昭和生命」新宿営業所、「極東商事」新宿営業所、バー「サファイア」、
        「額田ボードKK」新宿営業所
   原宿・・・「清和建設工業㈱」、駅前交番
   品川・・・高地瞭の経営コンサルタント事務所
   鶴見・・・高地瞭宅
   高円寺・・・的村文夫宅、花牧伊真子宅、法福寺、薬局、三丁目派出所
   日吉・・・山尾崎吉彦宅
   三田・・・青松学園高校
   大森・・・佐原信哉宅、お稲荷さん、中華そば屋
   信濃町・・・篠原診療所
   渋谷・・・バー「ミホ」
   高田馬場・・・協同銀行高田馬場支店
   板橋・・・東京市立中学
   上北沢・・・織部治彦邸
   広尾・・・洋裁店「アザミ」
   村山・・・雪代が入院する診療所
   北多摩狭山村(現・東大和市)・・・女性の縊死体の発見場所
   高松・・・加代子の郷里
 あらすじ
 貧しい印刷工員・江見次郎は文房具店の二階に一人で下宿している。そんな彼のことが気になる本屋の娘・小森敦子は、ちょこちょこ部屋に顔を出しては頼まれてもいないのに次郎の世話をしている。ある日、次郎のジャンパーのほつれを直そうとした敦子は、内ポケットから見知らぬ札入れが入っていることに気がついた。その札入れには次郎も見覚えがなかったが、気がよすぎる彼は警察に届けず自分で持ち主に渡しに行くといいだした。そして札入れの中から見つけた名刺を手がかりに、次郎は持ち主を探しに行くのだが、その途中高円寺で訪ねた画家の的村文夫が服毒自殺を図った現場に出くわしてしまう。
【ワンポイント】
 
この作品は「若い女性に向く推理小説を」という文藝春秋新社からの注文で書かれたものです。
また、この作品に登場する「的村ミチルにはモデルがいて、そのモデルとは幼児の頃の私自身」と記されています。(『仁木悦子長編推理小説全集第4巻』立風書房 作品ノートより)
 登場人物
江見 次郎 「太平印刷」工員。25歳。「スズキ文房具店」に下宿する。詩を作ることが好き。
小森 敦子 次郎に気がある本屋の娘。
的村 文夫 高円寺に住む貧乏画家。42歳。妻が家出し、愛娘と二人暮らし。
的村加代子 文夫の妻。29歳。家出中。元・出版社の事務員。バー「ミホ」のホステス。
的村ミチル 文夫の娘。3歳。物おじしない。次郎になついてしまう。
渡辺平太郎 文夫の親友。45歳。水道工事作業員。
花牧伊真子 的村家の隣人。独身。ピアノ出張教授。
井田 松江 的村家の隣人。
秋野 花牧家の隣人。
画家。文夫の絵画の師。
堺  瑞枝 堺の長女。文夫の前妻。結婚一年後、文夫に嫌気がさし愛人のもとに走る。
瑞枝の愛人。後に夫となる。堺の弟子。中堅画家。
織部 治彦 堺の弟子。文夫の友人。
織部夫人 治彦の妻。
山西 弘則 協同銀行高田馬場支店長。文夫の中学時代の同級生。
結城 朝美 洋裁店「アザミ」の店主。30歳ぐらい。加代子の友人。
ノブちゃん 「アザミ」のお針子。
主人 的村家の近所にある薬局の主人。
額田総一郎 「額田ボードKK」社長。
額田夫人 総一郎の妻。
額田多鶴子 総一郎の長女。他家へ嫁いでいる。
額田 総一郎の長男。高校卒業後、浪人中。
松下 「額田ボードKK」のデザイナー。
老人 「額田ボードKK」の関係者?神経痛が持病の老人。
磯田 元治 「清和建設工業㈱」社長。
事務員 「清和建設工業㈱」の若い女性事務員。
社員 「清和建設工業㈱」の男性社員。左の目の下に泣きぼくろがある。23~4歳。
中島 「清和建設工業㈱」の社員。
広田 「清和建設工業㈱」の客。
老人 「清和建設工業㈱」の関連会社の職人。
堀  敏郎 「極東商事」新宿営業所の社員。
佐原 信哉 「青松学園高校」の教師。
佐原 雪代 信哉の妻。村山の診療所で結核のため入院中。
高地  瞭 経営コンサルタント。40代半ば。
高地夫人 瞭の若い妻。
山尾崎吉彦 商業デザイナー。
黒川 吉彦の下宿先の大家のばあさん。60歳過ぎ。
竹内 吉彦の友人。
梅川より子 「昭和生命」新宿営業所の保険外交員。
金原美奈江 新宿のバー「サファイア」のマダム。
ホステス 「サファイア」のホステス。緑のドレスの女の子。
篠原 信濃町にある「篠原診療所」の鍼灸師。
篠原夫人 篠原の妻。鍼灸師。
次郎の母。気が強く、良三の死のことで次郎を責める。
次郎の兄。中学校教師。
義姉 兄の妻。気が強い。
江見 良三 次郎の弟。中学3年の時に溺死する。
おかみさん 「スズキ文房具店」の大家。子供はいない。
吉岡のおくさん 「スズキ文房具店」の下宿人。
里見のおくさん 「スズキ文房具店」の下宿人。
西岡 「スズキ文房具店」の二つの隣にある「西岡印房」の主人。
小森 「小森書店」の主人。敦子の父。
須藤 恭平 スリの青年。あだ名は「きょん平」。
次郎の肩にぶつかってきた男。目が離れて平べったい顔。
商店主風の男。
ジーパンの男 高円寺駅の乗客。
広瀬 警視庁捜査一課部長刑事。
菅原 阿佐ヶ谷署巡査。
巡査 原宿駅前交番の巡査。
警官 高円寺三丁目派出所の警官。