粘土の犬(ねんどのいぬ)
  初出誌
1957年(昭和32年) 宝石11月号
 作品関連
  雑誌 1957年 宝石11月号 宝石社
  書籍 1958年 探偵小説年鑑 1958年版 宝石社
  書籍 1958年 粘土の犬 大日本雄弁会講談社
  書籍 1960年 粘土の犬 講談社ロマンブックス
  書籍 1960年 多岐川恭 仁木悦子 佐野洋集 東都書房
  書籍 1975年 犯罪ショーへの招待 日本代表ミステリー選集4 角川文庫
  書籍 1975年 13の暗号 講談社
  書籍 1977年 粘土の犬 講談社文庫
  ドラマ 1990年 記憶の復讐 テレビ東京系
  書籍 1995年 短編を読む推理傑作選50上 光文社
  書籍 2007年 江戸川乱歩と13の宝石 第二集 光文社文庫
  書籍 2017年 粘土の犬 仁木悦子傑作短編集 中公文庫
 事件の舞台
   目黒・・・安枝が開店する洋裁店の物件
   渋谷・・・利彦が通う予定の私立の盲学校
 あらすじ
 会社の金で投資をしていたが焦げついてきた井ノ口良介は、社の経理担当が変わったことで身の危険を感じていた。どうしても穴埋めをするべく現金を手に入れたかった彼は、恋人・中田安枝の洋裁店の開店資金を目をつけた。安枝は盲目の息子・利彦をもつバツイチの女性で、再婚を強く望む彼女は良介にとってうっとうしい存在でもあった。そこで良介は安枝を殺し金を奪うがその4年後、盲学校の作品展で彼は「粘土で作られた犬のような」利彦の作品を目にする。
【ワンポイント】
 この作品は河出書房から送りかえされた『猫は知っていた』の原稿の裏に下書きを書いていたのですが、乱歩氏から「『猫は知っていた』を乱歩賞に応募しなさい」という手紙をもらい、急いで別の原稿用紙に『粘土の犬』を清書したというエピソードがあります。もちろん、『犬』の下書きは消さずにそのまま、『猫』の原稿を乱歩賞に応募したそうです。
 登場人物
井ノ口良介 会社員。会社の金に手をつけ焦げ付いている。
中田 安枝 良介の恋人。バツイチの子持ち。良介と結婚したがっている。
中田 利彦 安枝の息子。4歳。盲目。
中田 絹枝 安枝の妹。
老母 安枝・絹枝の母。
下宿のかみさん 良介の下宿先の大家。
子供 下宿先の二人の子供。